2006年03月06日

「九州から見た雪舟」福岡市美術館―なぜ九州で雪舟か(2)

 ご無沙汰です。惰性に任せて、サボっておりました。

 「九州から見た雪舟」福岡市美術館について、とっても重要なことを扱うことを忘れていました。いまさらながら、「なぜ、九州で雪舟か」

 水墨画といえば室町時代。ということになりますが―もちろん雪舟も室町時代です―室町時代は室町幕府で中心は京都。だから、雪舟も京都。というわけにはいきません。先回も軽く触れたと思いますが。

 雪舟は40歳前後で今の山口県に移住しています。それはなぜか。まだよく分かっていませんが、かいつまんで紹介させてもらいますと、雪舟の家柄はそれほど高い家柄ではなかったため、血統主義だった京都の寺院では出世が望めなかったために、地方へと去っていった。という説と、今の山口県あたりを納めていた大名は大内氏というとっても力を持っていた大名で、京都にあこがれていたその大名は京都の文化を自分の領地にも根付かせようとした。そのため、京都で絵を得意としていた雪舟をその一環として招聘した。という二説が有力です。

 私は後者を支持しています。

 というのは、山口県の旧香積寺伝来の「維摩図」が伝承されていて、本格的な仏画でとっても大きいことから、雪舟はお寺の仏事を行う絵を描く専門画家として、大内氏に頼まれて山口県に下ったのではないかと思うからです。

 そして、応仁の乱の頃に、中国に渡っています。何のために中国に渡ったのかは少し不明なところですが、かなり絵を勉強したことは間違いないでしょう。先回紹介しました拙宗と帰国後の雪舟の絵を見比べると劇的な上達がうかがえます。

 雪舟は中国に渡るまでに二年ほど山口県で待っています。いろんないざこざがあったために、出発が遅れたのでしょう。そのときに、九州に行っていたのではないでしょうか。

 帰国後に行っていたのかもしれませんが、確かに雪舟の伝来を持つ九州にまつわる絵が伝わっています。たとえば、鎮田瀑図 (図は現地案内図より転載)は大分県の有名な滝です。

chinda33.jpg

ただ、この図は狩野常信の写しではないでしょうか。現物は今は焼けてなくなっています。

 また、雪舟の弟子では秋月という雪舟の弟子の中で三本の指に入る画家も九州の鹿児島の出身だそうです。今回の展覧会ではなぜか取り上げられていないので残念ながら観えませんが、絵は弟子のなかで雪舟にもっとも近いようです。ただ、雪舟ほどの迫力はありません。

 雪舟の迫力ってどこから来るんでしょうね。筆のスピードかもしれません。筆を早く動かして書くと、躍動感のある絵になります。筆をゆっくりと動かすと動きのない感じが表れてきます。

 それが最もよく比較できるのが雪舟の「慧可断臂図」かもしれません。

(図1)雪舟慧可断臂図.jpg

 はい、奥の白いおっさんが「達磨さんが転んだ」で有名な達磨さんです。手前の腕をちょん切って泣きそうになっているおっさんが達磨さんの弟子の慧可という人です。

 達磨さんの輪郭はすごく丁寧にゆっくりとした線で描かれています、もっといえば、達磨さんの線の外側はなぜかうっすらとぼやを描きこんでいます。隈というやつでしょうか。

 一方で、背後の岩はとってもスピーディーにリズミカルな線で描かれています。この筆のスピードは明らかにわざと変えているはずです。なぜこのようなスピードの変化をつけたのかは分かりません。調査中です。

 ちなみに、「慧可断臂図」も展示されません。ごめんなさい。関係ない絵ばかりあげてしまって。

 今回の展覧会は弟子の作品が多いです。雪舟の弟子の達磨の作品が2点でているので、参考にするとよいかもしれません。慧可断臂図の達磨とはかなり違うと思いますが。

 作品の出品リストを一見すると、道釈・人物画というジャンルに類する作品が目立ちます。つまり、九州や山口での雪舟の道釈人物画家としての一面を見てくださいということでしょう。ちなみに雪舟は山水画家として有名です。

 でも、実は雪舟の道釈・人物画は意外と多かったのではないかと最近考えられてきています。そんな一面を九州で絵を見ながら考えてみてはいかがでしょう。

 

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posted by にわか at 18:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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