2006年11月13日

ブツゾウ展批評

 先日二回目の「仏像」展に行ってまいりました。


 「なぜ二回目かって?」気になりませんか?ご存知の方たくさんいると思いますが、展覧会には「展示替え」という作業があります。


 展示替えとは、いろんな作品を観てもらいたいから展示する作品を期間で区切って展示するというやり方です。いろんな思惑があるかもしれませんが、そういうタテマエだそうです。


 前期は京都・宝菩提院願徳寺の「菩薩半跏像」を後半は渡岸寺の十一面観音像のために二度行ったのです。


 さて、本題に入りましょうか。


 仏像展は第一会場と第二会場に分かれています。第一会場の方は奈良時代の仏像が展示されています。そこにあるのは「超有名どころ」の第一級品ばかりです。


 しかし、それゆえなのかどうか部外者の私には分かりませんが、思っていたほど「すごい!」という感動はありません。というのは、ただ展示してある感を強く感じました。


 おしなべて、第一会場の展示からは主催者側からのメッセージを受け取ることはできません。それは、私の勉強不足なのかも分かりませんが、しかし、少なからず私かて一般の人たちよりも専門に勉強している(これでも一応専門家です)わけですから私を標準よりも少し上と考えてみた時に、果たしてあの展示でどれだけの人が理解できたのか疑問に感じました。


 檀像といって、東南アジアに生植するビャクダンというあまり大きくはならない、しかし、いい匂いのする樹木を使って作る仏像があって、全てが一級品です。しかし、「なぜその作品を選んで展示したのか」もっとヒントを添えて欲しかった。

 その中で、一つだけ私が感動した檀像がありました。それは一体どれでしょう。
http://event.yomiuri.co.jp/2006/butsuzo/works.htm


 


 正解は左から二番目真ん中の段の「弥勒坐像」という仏像です。最初に観たときの第一印象が

 「えっ!?」

 というものでした。それは、観るまでその東大寺の弥勒仏は丈六仏だと思っていたからです。丈六とは大体人の背丈くらいある大きな仏像で、写真で観たときに、勝手にそう思い込んでいたのです。因みにタレントの小池栄子さんに似ています。


 写真ではそのものの大きさが全く分かりません。大きさで驚くのも実物を観る醍醐味のひとつだと私は思っています。山形・宝積院蔵の十一面観音が個人的には好きです。


 二部屋くらい進むといよいよ目玉である渡岸寺の十一面観音がいらっしゃいます。おばちゃんたちは「ライトがまぶしい」と文句ばっかり言っていましたが、あのくらいの光量のお蔭で、細かいところまで観ることができます。まぶしかったらまぶしくないポジションを取ればいいだけのことです。こちらが、動けばよいのです。


 第一会場の私の興味はそんなところです。次に第二会場はどうでしょう。


 むしろ、こちらの方が私は好きです。というのは、入ってすぐに、鉈彫りの仏像が九躯(?)展示されています。私たちがイメージする仏像とは少し違った感じがするかもしれません。


 因みに、鉈彫りとはすごく端折って簡単に説明すると、「仏像を彫った後に、その表面に縞々の模様を入れた仏像」のことです。少し前までは未完成の製作途中の仏像だと考えられていたそうです。


 こんなにたくさん鉈彫りの仏像が並ぶことは滅多にあることではありません。これらを比較してみると鉈彫りの模様の特徴が結構違っています。同じ鉈彫りと呼ばれているのに!


 例えば、天台寺という岩手県のお寺があります。以前、瀬戸内寂聴さんが住職をされていたことでも有名なお寺です。そこの「聖観音(しょうかんのん)」や入ってすぐに展示されている神奈川・弘明寺の「十一面観音」や岩手・藤里毘沙門堂の「でかい」毘沙門さまや神奈川・宝城坊の「薬師三尊(三躯セットです)」などは正面だけに鉈彫りが施されていて、背面には鉈彫りがされていません。神奈川・宝城坊のはうっすらと見えましたが。


 「じゃあ、何で表だけ?」と考えてしまいましたが、私にはとても分かりません。安直に考えてみると「正面しか見せないから裏はいいや」ということなのかもしれませんが、よく分かりません。


 一方で、都に近いところの鉈彫像は裏まで彫がありました。何か、思想的な背景があるのかもしれませんね。


 よく似ていたのがあって、天台寺の「聖観音」と神奈川・宝城坊の薬師三尊の中の脇侍」がよく似ているのです。坂東という意味では同じですが、距離は結構はなれています。不思議ですね。ひょっとしたら、天台寺の聖観音も、本来は薬師如来の脇侍の一躯だったのかもしれません。私の妄想だと思いますが。


 そのあとの、円空と木喰の仏像は適当に楽しんでください。強いて感想を言えば、「円空の仏像は逆さまにして振り回すと、相当な武器になる」というくらいでしょうか?木喰の仏像はおしなべてかわいらしいです。アンパンマンみたいです。これらはおそらく、現代人ウケを狙った数合わせみたいなものだと思いますので、かたちを楽しんでみてください。木喰の十二神将像は後頭部に梵字があります。後ろ側も注意してみてはいかがでしょう。


 最後に、繰り返しになりますが、私は展示全体を眺めてみて「そうだったのか!」と学芸員の方からのメッセージを受け取る作業が好きです。だから、常に考えながら展覧会全体を眺めます。

 
 まずはざっと全体を足早に眺めてみます。そして、その後にまた最初に戻って一つずつ単眼鏡でじっくりと眺めていきます。それは仏像でも絵画でも同じです。


 展示している学芸員の方が、何を「私たちに伝えようとしているのか」その知恵試しだと思っています。美術館も勉強の場所だなんて重く受け止めずに、一種の知的なテーマパークくらいの気持ちをもって皆さんも楽しんでみてはいかがでしょう。

posted by にわか at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。